●カデドリ同盟
○皆さまからの投稿作品


    メビウスの公転軸                 作:すずひめさま



 熱帯夜だった。
 その日グランバニア城では、何かの記念でパーティが行われることになっていた。
 この城では、ことあるごとに宴を開いて客人をもてなすので、いちいち今日は何の集まりごとか、誰が招かれるのか、把握しきれる由もなかった。
 彼はもとより社交的な行事が苦手であったが、この城に居座らせてもらっている身としては、そのような酒宴の席に顔を見せないという選択権はないも同然である。
 幸か不幸か、ここには彼を放っておいてはくれないお節介な者が多くいた。初めは億劫そうにしていた彼であったが、これもお国柄なのか、と最近では少し諦めが出てきた。
 実際、そのような場も嫌いではない、と気付き始めたのかもしれない。
 知らず知らずにこの国の人々のペースに巻き込まれていっていることに不思議な心地良さすら感じながら、それでも少し億劫な気分で、彼は身支度を済ませた。身支度とは言っても、普段着よりも少しだけ上等な仕立ての服を着ただけであるが。
 そう言えば、彼女はどんな服装をしてくるのだろう。
 何の気なしにふとそんなことを考えながら、鏡の中で襟を正し、諦めのようなため息とともに、彼は部屋を後にした。



 ちょっと派手すぎやしないかしら。
 彼女は鏡を覗き込みながら、大きく開いたドレスの胸元を気にしていた。
 母が若い頃着ていたというドレスであったが、もともと豊かな胸を更に強調するようなデザインで、そのまま公衆の面前に姿を見せるのは少し躊躇われた。普段から露出度に関してはあまり気に留めない彼女であったが、このように公式の場の正装ともなれば話は別である。
 しかし、着付けをしてくれた初老の女中頭が、「とってもお似合いですよ。きっと皆さん華やかな服装でいらっしゃいますから、前王の娘である貴女様が目立たないようではいけませんわ」などと言うので、もっと皆派手な格好をしてきて、自分が目立たなくなれば良い、とこっそり思った。
 今日は、現グランバニア王の誕生日を祝うパーティである。
 お祝いごとの多いこの城だが、今日はいつもに増して盛大に、多くの人を招いて行われる特別な宴なのだ。
 彼女も、普段滅多に結わない髪をアップにし、華奢な髪飾りを刺した。
 うして見ると、少し母に似てきたかもしれない。いつもより大人びた自分の姿を見ながら、うなじの後れ毛を人指し指で梳いた。ビアンカに借りた品の良いピアスが揺れて、彼女とのとある約束を少し思い出した。
「とてもおきれいですよ。さぁ、もう時間ですわ」
 女中頭の言葉で我に帰り、彼女は大広間に向かった。



 大広間は、多くの人でむっとした空気に包まれていた。
 彼は、その人いきれの湿気が苦手であった。
 本日の主役であるらしい現グランバニア王の口上の後、舞踏会が始まっていた。
 女を誘う男、男に誘われるのを待つ女。
 オーケストラの甘ったるい演奏が、熱気と湿気をくぐって肌に纏わりつくような気がした。その為ダンスに参加する気にもなれず、彼は比較的人の少ない、隅のほうに身を置くことにした。
 ダンス会場から少し外れた、立食用のテーブルのあたりでは、どこかの国の重臣らしき人々が談笑しており、グランバニア王が一人ひとりに挨拶をしながら廻っていた。
 適当に食事をしたら、隙を見て自室に戻ろう。
 そんなことを考えて、狂ったようにくるくる廻る人の波をぼんやり見ていると、先ほどまで他国の客人と会話をしていた王が自分のほうに向かって歩いてくるのに気付いた。
 「やぁカデシュ、今日は来てくれてありがとう」
 王は人好きのする笑顔でそう言ったかと思うと、「ドリスと踊らないのかい」などと、二言目には本心ともからかいとも取れないことを言ってきた。
 「そういうことにはあまり興味がない。あんたはこんなところにいていいのか?」
彼の素っ気無い台詞に、「素直じゃないなぁ」と王は苦笑した。
 距離感が掴めない。王と会話するときはいつも自分のペースを乱されるようで、彼はできるだけ接触を避けていた。
 「まあとにかく、折角なんだから楽しんでいってよ」
 王は彼に軽く手を振って、再び人ごみの中に消えていった。
 正直苦手な相手ではあったが、今日は王の誕生日であるとも知らずこの会に出席し、祝いの言葉のひとつも掛けなかったことを、彼は少し後悔した。



 彼女は、人ごみにまみれて少しうんざりしていた。
 とりあえず何か食べようと思ったのだが、何度も見知らぬ男性に声を掛けられ、なかなか人の輪を抜けることができないでいたのだ。
 ダンスは嫌いではないが、誰彼構わずという訳にもいかない。
 心配した通り、少し目立ち過ぎているんだわ、と彼女は自分の服装を後悔したが、例えどんな地味な衣装を身に付けていたとしても、彼女が誰からも声を掛けられず、すんなりと人ごみを抜け出せたかどうかは疑問である。
 実際、彼女より派手なドレスを纏っている女性はたくさんおり、それぞれが自身の美しさに自負を抱いているようであったが、彼女の瑞々しい美しさに敵う者は誰一人いなかった。しかし本人は全く無自覚で、それ故穢れの無い健康的な美しさに、ダンスホールの男性の視線は釘付けになっていた。
 今日何度目かのお誘いを受け、どうやって断ろうかと辟易していると、背後から声を掛けられた。
「やぁ、ドリス」
 グランバニア王であった。
 彼女はその男性に目礼してから、王に向き直った。
「おめでとう、坊ちゃん!・・・助けてくれてありがと」
 王は彼女の二言目に苦笑し、「ドリスは可愛いから皆がほっとかないんだよ」と言った。
 この人は、こういうことを平気で言うのだ。彼女は少し、頬が熱くなるのを感じた。
「さっき、向こうの方でカデシュに会ったよ。ひとりでいるみたいだったから、行って一緒に踊ってきなよ」
 ・・・この人は、こういうことを本当にさらりと言うのだ。
 彼女にとって今目の前にいる相手は、かつて遠い日に憧れた存在であり、だからといって今そういった感情は到底抱いている訳ではないのだが、それでもこのようなことを言われると、ほんの少し複雑な気持ちになった。
「なんでカデシュの話になるのよ・・・あたし、ダンスなんてしないわ」
 正直、彼を視界の隅に探しながら人の波を漕いでいたことは否めないのだが、複雑な感情から派生した僅かな反発心から、にべもなくそう言い放ってしまった。
 事実、彼と踊れない理由だってあった。
 王は、しかし気分を害した様子もなく、美味しい白ワインがあるからと、近くにいたウェイターからグラスを二つ受け取った。そして何故かその両方を彼女に手渡した。
 彼女が不思議そうな顔をしていると、「カデシュの分だよ」と王がさらりと言った。
「ちょっと、坊ちゃん・・・!」
 止める間もなく、王は手を振って行ってしまった。
 彼女はしばらく呆然とし、困り果てた末に右手のグラスを一気に干した。
 確かに美味しい。
 アルコールが胸の辺りから全身に駆け巡っていくのを確認し、彼女は再び歩みを進め始めた。ワインを口実に、会話くらいはできるであろう。折角のパーティなのだから、少しくらいは楽しまなくては。



「ねぇ、一緒に飲まない?」
 突然、背後から声を掛けられた。
 振り返ると、見覚えのある女が一人、白ワインのグラスを片手に立っていた。
「このワイン、飲んでみて」
 彼女は手にしたグラスを彼に手渡すと、屈託の無い表情で嫣然と微笑んだ。大抵の男なら、この笑顔でくらりと来てしまうだろう。事実、たくさんの男が遠巻きに彼女に熱い視線を送っていることに彼は気付いたが、当の本人は全く気にしていないようであった。
 彼女は胸元が強調されるようなデザインのドレスを着ており、結い上げた髪には細い髪飾りが光っていた。
 過去に酔って記憶をなくした経験から、酒は極力飲まないようにしていたのだが、折角勧められたので飲むことにした。
「美味しいでしょ」と彼女はまた微笑み、自分もウェイターからグラスを受け取って飲んだ。少し酔っているのか、彼女は頬をほんのり紅潮させ、瞳の焦点も少し曖昧だったが、しかしそれが却って魅力的だった。
「ダンスはしないの?」と彼女が尋ねた。
「あまり興味がない」と彼が答えると、「あたしもそうなの」と彼女が小さく笑った。
 しかしダンスホールの人波を見つめる彼女の様子から、本当は踊りたいのではないだろうか、と彼は思ったが、だからといって彼女をダンスに誘うような気の遣い方を、彼はしなかった。そういうことは彼の本分ではないのだ。
 少し彼女と言葉を交わしているうちに、先ほどまで彼女を見つめていた男たちが、今度はその隣にいる彼に対して嫉妬の眼差しを向けているのに気付き、若干の居心地の悪さを感じて、人の少ないバルコニーに移動した。
「ちょっと、どこ行くのよ?」
 彼女が慌てて後を追ってきた。
 外気は生暖かく、空は厚い雲に覆われていた。風もないので、まるで空気そのものをずっしりと重く身に纏っているような気にさえなった。
「今日は熱帯夜ね」と彼女が独り言のように言った。
 やはり社交の場は自分には似合わないな、と彼は心の中で呟いた。外の空気に触れればその気分も多少は和らぐかとも思ったのだが、これでは逆効果である。
 大広間の喧騒を遠く感じた。扉の隙間から漏れる明かりだけが、彼の影を黒く縫いとめていた。
 彼女はバルコニーの手摺りに身を預け、小さく聴こえるオーケストラの演奏に耳を澄ませているようであった。先程の、踊る人の輪を見つめていた彼女の横顔を思い出し、彼は少し申し訳ない気分になった。
「あたし、レストルームに行ってくるね」
 不意に彼女はそう言い、光の空間へと戻って行った。
 動くものが何もない、生ぬるい暗闇に取り残され、彼は天を仰いだ。そして、黒い空の一部分がうっすらと明るくなっていることに気付いた。厚い雲に覆われても尚、月の光が漏れ出しているのだ。本当は、今夜は満月なのに。
 独りになってしばらくして、彼はふと、‘彼女’はどうしているのだろう、とぼんやり思った。



 少し飲みすぎたかもしれない。
 彼女はレストルームの大きな鏡を見ながら、淡く上気した自分の頬に触れた。
 さすがに二杯もワインを飲んだのは失敗だったかもしれない。もともと酒はあまり強くないのに、手にした二杯目のグラスも結局自分で飲み干してしまったのだ。
 折角のパーティなのに、自分の顔色はあまりに冴えない。折角のドレスなのに、こんな気分では台無しだ。
 せめて一曲くらい、踊れば良かったかもしれない。自分が踊る分には、全く問題ないのに。
 ビアンカとの約束――ちょっとした賭け――を、また思い出していた。
 今自分がこんなにもつまらない気分なのはその‘約束’の所為であると、心のどこかでは気付いていたが、あまりに癪なので気付かない振りをしていた。
 とにかく今日は、彼とは踊れない。
 だからといって、他の誰かと踊る気にもなれない。
 少しだけ、耳元で揺れるピアスの持ち主を恨んだ。
 後からレストルームに入ってきた若い女が、ちらりと彼女の方を見やった。鏡越しに見るその娘は、どこかで見覚えがあるような気がしたが、アルコールが思考回路を遮断していて、どうしても思い出せなかった。
 いや、今はそんなことよりも。
 早く彼を見つけて、早めに手を打っておかないと、全てが本末転倒になってしまう。
 彼女は気を取り直して、レストルームの扉を開けた。



「こんなところにいたのね」
 再び、背後から声を掛けられた。
 振り返ると、見覚えのある女が一人、息を切らせて立っていた。走ってきたのだろうか。
「ドリス」
 テレパシーを信じる訳ではないが、彼は驚きもしなかった。彼女が声を掛けてくることを、ある程度予想していたのかもしれなかった。
「こんなところで、何をしてるのよ?」
 まだ上ずったままの息遣いで、ほんのり上気したような頬で、少し鼻に掛かる声で、どこか恨めしそうな眼差しで、彼女はそう言った。
「別に・・・何もしていない」
どんよりした暗闇に、ちらりと見える彼女の白い胸元を眩しく感じた。
「カデシュは・・・その、ダンスはしないの?」
 彼女は何故か少し言い辛そうに、視線を逸らした。
「いや・・・お前は踊らないのか?」と彼は返答した。
「だから、あたしが聞いてるのよ・・・」と彼女は不機嫌そうな声を漏らした。
「ダンスにはあまり興味がない」と彼。
「そう、じゃあ、今日はまだ一度も踊ってないのね?」と彼女。
 何故そんなことを訊くのか、と切り返そうとして、まともに彼女と視線がぶつかった。不可解にも、心臓がひとつ、大きく鼓動を打ち鳴らした。
「・・・踊っていない。人ごみは息が詰まる」
「そっか」彼女は何故か、少し安堵したような表情になった。「それでこんなところにいるのね」
 相変わらず、バルコニーには湿った空気がずっしりと取り巻いていたが、それほど気にならなくなっていた。
「珍しいな・・・髪」
「ん?ああ、これ?」
 彼女は自分の頭に手をやりながら、意外そうに少しだけ目を見開いた。
「たまには、ね。アップって言っても、まだそんなに長くないから、軽く留めてるだけなんだけど」
 彼女が身じろぎする度に、うなじの後れ毛と耳元のピアスが揺れる。
「悪くないな」
 彼の言葉に、また彼女は意外そうな顔をして、「いきなりどうしちゃったの?」と笑った。
 その、少しはにかんだような笑顔に、どういう訳か息が詰まった。
 今日は不可解なことが多過ぎる。
 いつの間にか、緩い風が彼女のドレスの裾を揺らし、不機嫌な満月が少しだけ顔を見せ始めていた。



 彼女は心の奥で、胸を撫で下ろした。
 賭けはあたしの勝ちね、ビアンカ。心の中でそう思った。このピアスは返す必要がなくなった訳である。
 彼が誰とも踊っていないと聞いて、こんなにもほっとしたのは、ビアンカとの賭けの所為だということにした。そうでなければ、あまりに癪である。
 緩やかな風に乗って、舞踏会の音楽が聞こえてくる。一番の心配事が消えたので、彼女はその音楽だけでも楽しむことにした。
「お前は踊らないのか?」
 彼が、再度そう訊いてきた。
「踊らないわよ。こんなにご馳走がいっぱいあるのに、踊ってる場合じゃないじゃない」
 実際は、ご馳走にありつく余裕はありもしなかったのだが。
 風が出てきたためか、先程まで厚く空を覆っていた雲が少しだけ切れて、ぼんやりとした朧ろげな月が見え隠れしていた。このまま星が見えればいいのに、と彼女は思った。
 突然、何かが彼女の頬に触れた。
「お前・・・少し飲んだか?」
 それは、彼の指先だった。
 突然の出来事に一瞬声も出ず、唯でさえワインで赤くなった頬が更に紅潮するのを感じた。
「のっ・・・飲んだわよ!飲んじゃ悪い?!」
 思わずひっくり返ってしまった声に自分で焦り、平静を保とうとしたが無理なようだった。
 さっきから彼は少し、発言と行動がおかしい。ふと、以前の出来事がデジャヴュのように甦り、あるひとつの可能性に思い当たった。
「あんた・・・酔ってない?」
「いや・・・」彼女の指摘に、彼はそう小さく漏らし、「酒は飲んだが、酔ってはいない」と言った。
「やっぱり酔ってるんじゃない・・・」
 彼女はそう呆れつつも、心のどこかで期待のようなものが膨らんでくるのを感じた。このまま、このふわふわとした気分に身を任せてもいいかもしれない。そう思い始めていた。先程まで癇に障っていた、パーティ特有の色めき立つ雰囲気も、今やその気分を煽る一因になっていた。
 パーティも、悪くない。
「さて、私はそろそろ部屋に戻るが・・・お前も来るか?立ち話もなんだろう」
 彼が唐突にそんなことを言った。
 一体何故そんなことを言うのか。それはどういう意味なのか。何か意図があっての発言なのか。
 一瞬のうちに、頭の中にいろいろなことが浮かんでは消えた。いつもなら「行く訳ないじゃない!」と突っ跳ねているところであったが、何故か今日に限ってはそのような選択肢は思いつきもしなかった。
「そうね、折角だから、お邪魔するわ」
 彼女はそう言い、暗い夜の空から明るいダンスホールへと、目を移した。
 ほんの一瞬、大広間の人ごみの中にいた若い女と目が会った気がした。レストルームにいた娘だ。
「ねぇ・・・あの子って・・・」
 彼は彼女の目線の先を追い、ああ、と小さく呟いた。
「王妃の・・・」





「あら、結局つまんないことになったのね」
 見事な金糸の髪をきっちりと編み込んだ女が、王の寝室のベッドに腰掛けたまま本当につまらなそうな声を出した。
「つまらないって・・・あたしは楽しかったですよ、ビアンカ様」
 傍らにいた、ドレス姿の若い女がそう応えた。「だって、しがない侍女のあたしがこんな素敵なドレス着る機会、滅多にないですもん」
 その娘は、侍女という割には気品のある可愛らしい顔立ちをしており、このようにドレスアップをしているとまるでどこかの貴族の娘のように見えた。
「あーあ、貴女だったらあの堅物くんも多少はなびくんじゃないかなーと思ったんだけど」
「全然ですよ。だって彼、あたしのときとドリス様のとき、全然態度違うんですよー?」
 侍女はスカートの裾を摘まんでくるりと廻り、「でもあたしもちょっと、踊りたかったな」と小さく独り言を言った。
「そもそもドリスが、カデシュはパーティでも絶対踊らない!なんて意地張って言い張るからいけないのよ」
「だからって何も、賭けることないじゃないですかー」
「あら、だってその方が楽しいじゃない」
 王妃は、しかしそうは言ったものの、「あのピアス、私も気に入ってたんだけどな」と少し悔しそうに呟いた。
「じゃあ、もし彼が一度でも誰かと踊っていたら・・・ドリス様は何を賭けていたんですか?」
「ナイショよ」王妃は意味深な笑みを薄く漏らしてそう言った。「私はカデシュは最低でも、ドリスとだったら踊るんじゃないかなと思っていたんだけどね」
 その言葉に、侍女が少しむくれて見せた。
「じゃああたしって何だったんですか?」
「保険、みたいなものよ」王妃は軽く笑い、そしてふと思い出したように言った。「そう言えばあの2人、今どうしてるの?」
「しばらくバルコニーで喋った後、2人で彼の部屋に行きましたけど」
「ふーん・・・って、えええええええええええ?!!!それ本当?!」
「ホントです。ビアンカ様、驚きすぎですよ」
 見る見るうちに、王妃の顔に満面の笑みが拡がっていった。
「なんだ・・・じゃあ、賭けは私の勝ちね」
 その言葉に、侍女はきょとんとして首を傾げた。
「どういうことですか?」
 王妃は、悪魔をも魅了するような蟲惑的な表情で、囁くように言った。
「ナイショよ」








〜Curtain Fall〜









【後記】
 カデドリ同盟員の皆さんこんにちは、すずひめです。ここまで読んでくださって、どうもありがとうございます!
 さて、3作目ですが、表テーマは「あなたしか見えない」、裏テーマは「ビアンカの手のひらの上」でお送りしました(笑)
 恋のドキドキ感を思い出すため、ひたすらTommy febrary6を聴いていました(笑)
 なんだかんだでお互いのことが気になって仕方が無いカデドリと、結果的に自分の侍女を当て馬として使い、2人をくっつけてしまうビアンカ。
 お酒の力って、凄いですよね。解放的な気分になっちゃいますからね〜。正気に戻ってから青くなるやら赤くなるやら・・・(遠い目)
 実はこの話、1作目『朧ろの月』の伏線を意識して書きました。
 ちなみに、ドリスが何を賭けていたかは・・・ナイショです☆(笑)ヒントは、ビアンカは2人をくっつけたくて仕方ないということです。最後のビアンカの台詞の意味は・・・お好きに取ってください。皆さんのご想像にお任せします。
 相変わらずの暑苦しい文章ですが、楽しんでいただけたなら幸いです。
 ではまた。
                                          すずひめ








 すずひめさんから3作目をいただきました!
 おおお、今度はうって変わって、パーティーですね!王侯貴族のパーティーだから、きっときらびやかなサロンとなっているんでしょう!ヘンリーたちもきっと招待されたりしてるんだろうなー。
 そしてそしてビアンカとドリスの賭け、すっごい気になりますよすずひめさんー!!(笑)ビアンカの手のひらの上(笑) まさにビアンカがお釈迦様で、ドリスは孫悟空でしょうか?(笑) う、うわー、めちゃそれっぽい(笑) ビアンカ最強伝説ですよね!
 お酒、私も色々思い出がありますが(笑) 私の一家は大変大変お酒に強いので、いつも潰れた人たちの世話係に回ってしまう、どこかソンな役割でもあります(笑)

 ご投稿ありがとうございましたー!!


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