●カデドリ同盟
○皆さまからの投稿作品

流れ星          作:スパークさま


 あれからどれほどたったかな。


 もう此処には坊ちゃんもビアンカもみんな帰ってきてる。
 テン達がこの世界に平和をもたらした・・・っていうのは知ってるよね。
 あたしに足りないのはあとあんただけなのよ、「カデシュ」。
 はやく帰ってきてほしいよ・・・。此処へ。あたしの所へ。

 あんたを向こうへ置いてきたこと。べつに後悔はしてないよ。
 だってそれはあんたが望んだコトだもん。
 それにあんたは、此処に帰るとも言った筈でしょ。
 ずっと信じてたよ。
 もちろん、今も信じてるよ。明日にもあんたが帰ってきそうで・・・

 1年に一度、あたし達はストロスに通ったのよ。
 あんたが帰ってきてるか確認に。
 え〜〜と、今年行ったので6回目か。
 と言うことは6年たったのかぁ・・・
 不思議だよね。去年も一昨年も印象が薄くって、あんまり頭に残ってない。
 けど6年前あんたがいたときのことは昨日のことみたいに思い出せるよ。
 だいたい2年くらい一緒だったね。
 半分の1年間はあんたのこと正直嫌いだった。
 でも、残りの1年間は・・・
 ・・・あんたはどうだったんだろうね。
 でもあたしはあんたのこと好きだったよ。

 同時に怖かった。
 あんたが今にも消えていっちゃいそうで。
 そうしてる間に、あんたが戻らなくなって・・・


 「・・・5冊目。終了かぁ」
 あたしはふと口に出していた。
 カデシュが帰らなくなってから、書き続けてた日記。
 途中からカデシュへの手紙みたいになったけど・・・
 誰にも打ち明けられなくて胸の中を渦巻いてた想い。
 あたしは小さな手帳に詰め込んで、誰にも見られないようにかくまってた。

 机の中から書き終えた残りの4冊を出して、5冊並べ、あたしは手帳の表紙をまじまじと眺め、ため息をついてみた。

 続きを書きたくなり、まだ何も書いていない真っ白の手帳を取り出した。
 今日はやけに長々と書いているなあ、と感じた。
 昨日はほんの2行程で終わったのに。

 書いている途中、鉛筆を握る手から力が抜けた。
 いつからだろうか。
 あたしは無意識に胸のペンダントを左手でいじくってた。
 あの時カデシュから「預かった」物だった。
 あたしはペンダントをしっかり意識して見つめ直した。
 こうすると、カデシュの姿がはっきり頭に浮かんで、まるですぐ近くに居る様な気分になれる。

 はっとなった。
 カデシュの気配を感じた気がする。
 あたしは手帳を投げ出して、見張り台へ足を急がせた。

 見張り台へ向かう途中のバルコニー。
 あたしはひどく絶望した。
 そういえば今は夜中。
 城の中までには入れないように地下の城下町との境目の扉が閉まっている。
 気のせいだったんだ。
 あたしはがっくりと項垂れ、部屋に戻ろうとした。
    
    
  ゴォォォォォン!!!!!!!


 「ヒィッ!?」 
 あたしのすぐ真後ろで凄い轟音が鳴り響いた。
 思わず声を上げてしまったあたしは、慌てて口をふさいだ。
 12時を知らせる鐘。
 いつもは大して気にしていなかった音だけど、こんなに静かな時にすぐ後ろで鳴られたらさすがにびっくりした。

 12時・・・
 もうそんな時間か、と思った。
 城の人はほぼ全員寝静まっていた。
 星の綺麗な夜だった。
 あたしは部屋に帰る前にバルコニーに留まった。
 急にカデシュが恋しくなって・・・

 考えてもいないのに。
 あたしらしくないね、自分で思う程だった。
 
 あたしは遠くにすっと流れていく流れ星に祈っていた。
 カデシュ、あんたのことをね。
    


 次の朝。
 あたしはいつも通り扉の開かれる大きな音に目を覚ました。
 「・・・?」
 時計がくるったかな、はじめはそう思った。
 城が開くのは7時ぴったりの筈。
 今は6時47分だった。ちょっと早い。
 「・・・!!」
 期待が膨れ上がった。
 もしかして・・・


 あたしは、走って走って、ただ走った。


 早く会いたい!!
  
 
 廊下の角を曲がった時、見覚えのある人影。



 「カデシュ!」
   
 あんたは、あたしを見て一瞬驚き、そして微笑んだ。
 
 「待たせたな。」

 知らないうちになんだかカデシュは大人びて、雰囲気がちょっと違った。
 でもすぐに分かったよ。


 「お帰り、カデシュ。」

 あたしの頭の中にふっと言葉が浮かんだ。
 その言葉を口に出したかは分からないけれど。
    
 足元から熱いものがこみ上げて来て、まぶたの奥を刺激した。
 
 気がつくとあたしはカデシュの胸で泣いていた。

    

 お帰り、カデシュ。  あたし、ずっと待ってたよ。



    

 今では日常的に見ることが出来る『あなた』の姿を眺めていると、ふと思い出すあの日のこと。
    
 今日の夜も、星が綺麗だった。
 明日、何かいいことがありますように・・・・


                             END





  は、初めまして;;スパークです。
  いきなり投稿しちゃってすみません;;
  まだ12の若造なのに・・・
  ですのでダメでもご了承を。。。
  て言うか短いですね!!!

  こんなもんで良かったら、嬉しいです。
  これからドーゾ宜しくお願い致しますww








 スパークさんからいただきました!
 すごい素敵な帰還話ですよー!ちょっと皆さん!!
 12才……!それでここまで書けるなんてすごいです!!わわわ私も頑張らないとっ!(汗) 作品の善し悪しに年齢は関係ないですものね!

 ご投稿ありがとうございましたー!!


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