DRAGON QUEST V + 天空物語 > あの日 〜ライバル〜 |
上品な白壁を吹き上げてくる風に、むき出しの両腕が震えた。
肌寒さを感じて、ビアンカは身震いする。美しい金色の後れ毛が、風にふわりと流れた。
サラボナの夜は、思いの外寒い。
ルドマン家の令嬢、フローラの婿選びのために行われた2つの試練を、彼は苦難の末に乗り越えた。そして、明日にはビアンカかフローラか、どちらを花嫁に選ぶのか、彼はその決断を迫られているのである。
彼は、どちらを選ぶのだろう。
何度も何度も、キリなく浮かんでくる質問。答えを出せるわけがないと分かっていても。
彼は、きっとフローラさんを選ぶわ。
ビアンカは苦笑混じりに、自分に答えた。
フローラさんはとっても素敵な人だし、彼女と結婚すれば旅の資金にはきっと困らない。
彼が理想に描く女性が、いつか彼の話していた母親に似た人なら、それはきっとあたしではない。きっとフローラさんが、ピッタリ当てはまる人なのよ。
フローラさんはあたしみたいに、彼のことバカにしたりしない。もちろん、あたしだって本気じゃないけど。意味もなく拗ねて、子供みたいにつっかかったり、お姉さんぶってみたり、子供の時のことでからかったり。きっと彼女なら、そんなことしない。もっと、彼をやさしく包んであげるんだろう。
いつもあったかい微笑みを浮かべてるフローラさんは、まるで天使みたいで、聖母みたいで、それでいて無邪気な女のコみたい。
あたしとは、全然違う。家柄も、育ちも、考え方も。
フローラさんと結婚した方がいいに決まってるんだもの。
選択の余地なんて、あるわけないのに。
「ビアンカさん」
よほどぼんやりしていたのだろう。階段を登ってくる足音にも気付かないまま、そう声をかけられるまで、そこにフローラがいることが分からなかった。
「フ、フローラさん!」
ビックリして振り返ると、彼女は何やら毛布を持って立っている。
「この別荘、父のお気に入りなのですけど。重大な欠点が1つございますの。下から上がってくる風を遮るものがないので、とっても寒いことですわ」
華奢な肩をちょこっとすくめて、フローラはにっこり微笑んだ。
「どうぞお使いになってね」
ルドマンの指示で、ビアンカは彼の所持する別荘に泊まることになった。
そして、そこまで世話になってはと戸惑うビアンカを夕食に招待したのは、このフローラだった。
彼女は屈託のない笑顔でビアンカと向かい合い、終始微笑みを絶やさずに、会話を楽しんでいた。
もちろん、ビアンカにそんな余裕などありはしない。フローラがなぜそんなにも笑うことができるのかと、半分苛立ちながら見つめていたほどだ。
ルドマン夫妻も、フローラがいつになく楽しそうにビアンカを見つめているのを、訝しく思っていたようだ。娘のわがままに付き合わせてしまって、と、後になって夫人から丁寧な礼を言われ、かえってビアンカは恐縮してしまうのだった。
そして、今だ。
彼が自分を選ぶわけはない、と悶々とした想いに駆られ、窓辺で物思いに耽っていたビアンカを、フローラはあの屈託のない天使のような笑顔で訪ねているのだ。
この人は、何を考えているのだろう。
ビアンカは毛布を受け取りながら、フローラを見た。
もしかして、あたしのことをバカにしてるんだろうか。自分が勝つに決まってると分かってて、あたしにこういう接し方をするんだろうか。あたしに勝つっていう、優越感を味わいたいの?
嫉妬から来る、いわれのないモヤモヤした気持ちが沸きあがった。
するとフローラ、そんなビアンカを微笑んだままじっと見つめて、
「わたくしが、どうしてあなたに優しくするのかって、そう思ってらっしゃいます?」
図星を突かれて、ビアンカはギョッとした顔をした。
それが明確な答えになってるのにも、咄嗟に判断できないくらい、驚いた。
「ど、ど、どうして!?」
「だって、そんな顔してらっしゃいましたわ」
「か、顔? やだ、あたし、顔に出るんですか!? って、あああ、別にそんなつもりじゃ……!」
手を顔の前でバタバタさせて、真っ赤になるビアンカを見て、フローラはくすくす笑った。
「かわいい方ですわね、ビアンカさんて」
「え、ええ?」
驚くばかりのビアンカに、フローラはくすくす笑っている。
「あの方があなたの側を離れたがらない理由が、よく分かりますわ」
その言葉に、ビアンカはキョトンとなってフローラを見つめた。
「わたくしね、あなたが好きなんです」
一緒にベッドの上に腰掛けて、隣に座るフローラにそう言われて、ビアンカは仰天した。
「そんな顔なさらないで」
唇をちょこっと突きだして、むぅ、と膨れて、フローラは上目遣いにビアンカを見た。
「だって、びっくりして」
ビアンカは目をパチパチさせながら、言った。
「あたしは、フローラさんみたいに美人じゃないし、上品でもないし、お金持ちのお嬢様でもない。宿屋の娘に生まれて、田舎の山奥の温泉村で過ごしてる、ただのしがない娘ですもの。そんなあたしを、どうしてあなたみたいな人が好きになれるんです? あなたはいつも冷静で、あたしみたいにすぐカッカしたりしない。理知的で、まなざしに自信があるわ」
するとフローラはやわらかく微笑む。
「わたくしが魅力的に見えるとしたら、それはわたくしが、自分の力量をよく分かっているからですわ」
ビアンカはきょとんとなって、首を傾げる。
「わたくしは幼い頃に修道院へ預けられ、そこで育ちました。そこでどのような教育がなされるか、お分かりになるかしら」
「……神様への信仰に厚いっていうくらいしか、想像できないんですけど」
「もちろん、神への信仰は第一に教え込まれますわ。でも、それだけでは決してない。修道院へ預けられる者というのは、大抵が良家の子女。世界中に広がる貴族たちの、渦巻くネットワークから隔離するための、そしていずれそのネットワークと権力の世界へ入るための、事前教育がなされる場所なのです」
ビアンカは、この砂糖菓子のような美少女の口から飛び出る言葉に、圧倒されっぱなしだった。
外から見れば、規律正しい神聖なる修道院。だが蓋を開けてみれば、そこには貴族社会へ対応させるための教育システムが備えられた殺伐とした世界。
「わたくしたちは、常に鏡を見るように教わりますの。鏡に映った自分の姿を、よく見なさいと」
「それは、自分がどんな顔をしているかよく見ろということ?」
心とは裏腹に、貴族は社会に対して外面というものを常に持たなければならない。
心では激怒していようと泣いていようと、顔や言葉では笑っていなければならない。
心で反対していても、表面では賛成しているように見せかけなければならない。
それが、絶対的な権力と共に生きるということ。
「それだけではありませんわ」
フローラは珍しく厳しい、鋭い表情になってキッと前を向いた。
「己の容姿、ふるまい、そして世の中での自分の位置。それを正しく把握できない者は、蹴落とされ失墜する。だから、いつでも鏡に自分を映し、見極めるのですわ。自分にできること、できないこと。そして、そこから自分が何をすべきか見極める。わたくしたちのすべては、鏡を見ることから始まるの。己の真実の姿を見つめることから、すべてが始まる」
そこまで言って、彼女はポカンとなっているビアンカに顔を向けた。
花のようにやわらかく、優しい微笑みを浮かべて。
「あなたがわたくしを魅力的だと思われるのでしたら、それと同じように、わたくしにはあなたがとっても魅力的に映るんです」
返す言葉もなく、ビアンカはただフローラの瞳を見つめる。
「あなたはさっき、ご自分のことを美人でないとか、上品でもない、しがない娘だとおっしゃいましたけれど。それは、あなたが本当の自分をご存じないからですわ」
フローラは、ビアンカの三つ編みにまとめていた髪に手を伸ばし、優しくそれを解いた。
長いしなやかな金髪が、サラリと胸や背中に流れる。
「この風に揺れる麦の稲穂のような髪が、光を受けてどれだけ輝くか。誰より姿勢が良くて、身振り手振りにバネがあって、表情が豊かで。サラボナというこの人口の多い大きな街を歩いていて、どれだけ人目を引いているか、本当に何も気付いていらっしゃらないの?」
穏やかに、優しくフローラは微笑む。
「あたし……」
すっかりびっくり仰天しきってしまったような感じで、ビアンカは呟いた。
「今まであたし、自分がどんな目で見られているかなんて、考えたこともなかった」
そういうことを考えていられるほど、甘い生活環境ではなかったから。
「そりゃ、多少は清潔さに気を使ったり、薄く紅を引いたりくらいはしてましたけど……」
フローラは、くす、と優しく微笑んだ。
「あなたの中には、未知数の魅力が眠っているのですわ。それがあなたをより魅力的にしている。自分の力量を良く知っているわたくしには分かるの。あなたはまだ羽化を始めたばかりの雛鳥と同じ。あなたはどんどん美しくなっていかれるわ。身も心も、強く美しく」
フローラの瞳を覗き込んで、ビアンカは驚いた。その瞳が映し出しているのは、自分にはないものを持つ者に対する、強い憧れだったのだ。
「わたくし、きっとあの方はあなたを選ぶと思いますの」
唐突に現実に引き戻されて、ビアンカは身を引き締める気分だった。
どっきん、と心臓が飛び跳ねた。
「ど、どうしてですか!?」
その反応に、フローラはまた「むぅ」と小さな女のコのように頬を膨らませる。
「またそういうことをおっしゃるのね。わたくしが言ったこと、聞いてらしたの?」
「き、聞いてたけど、それとこれとは」
「関係、大ありですわ」
ちょっと睨むように、フローラは口を尖らせる。
「わたくしは自分の力量が分かっている。でもあなたは、まだまだ羽化の段階でしかない。そしてそれは、あの方も同じです」
「……え?」
「あの方は旅の途中だとおっしゃいました。だから、あの方も羽化の段階なのです。あの方も、ご自分の本当の魅力をご存じないの。まだ探索してらっしゃる段階ね。自分にできること、できないこと。そして、自分の本当にすべきことが何なのか」
「……でも、どうして?」
フローラはくすっと笑った。
「目を見れば分かりますわ。あの方が求めているのは、帰りを待つ伴侶ではない。共に道を歩んでいけるパートナーなの。常にあの方の側で、あの方の片腕となり、あの方の母となり姉となり、安らぎとなりうる存在。あの方が求めているのは、そういう方なんです」
それを聞いて、ビアンカの胸には、何かもやっとしたものが浮かんだ。
どうして、今まで側にいた自分ではなく、つい最近知り合ったばかりのこの女性が、自分よりもよく彼のことを分かっているのだろう。
「だからわたくし、ホント言うと……、ちょっと妬いてるんです」
「まだ、あたしが選ばれるって決まったわけじゃないのに」
自分が抱いた嫉妬と同じ感情を、この女性もやはり抱いていた。
そう思うと、ビアンカは安心すると同時に、また少し、そわそわして落ち着かない気持ちになるのだった。
フローラは微笑んだ。
「ビアンカさん」
「なあに?」
「あの方のこと、お好きですか?」
ビクッと身体を強ばらせて、ビアンカはフローラから目を背けた。つい、そうしてしまった。
「あ、あたしは、別に、その、……ただの幼馴染みで…………」
フローラは黙って、微笑みながらビアンカを見つめていた。
その微笑みは、とても逃げることができない、とビアンカに悟らせるには十分だった。
気持ちの整理を付けるときだ。
ビアンカはフローラの眼を見て、そう思った。
「彼は、小さい頃からちょっと頼りなくて、泣き虫で、いつもあたしの陰に隠れてた。あたしが助けてあげないと、飛んでいってあげないと、すぐ泣くの。だから、ほっとけなかった」
「……ええ」
フローラは微笑みで、続きを促す。
「魔物にすら優しくて、非情になんて絶対なれない。とどめを刺すのに絶対手がふるえるの。どれだけ戦いを重ねても、その瞬間だけは絶対にダメなんだって、言ってたわ。お父さんが死んでいくのを見てしまってから、彼の中で『死』というものが形成されてしまってるんだと思う」
不思議なほどすらすらと、言葉はつっかえることもなく、後から後から飛び出してきた。
今までせき止められていた泉の水が、溢れ出すように。
「人が困ってたら捨て置けない性格だし、ほんと、お人好し。ばかみたいにお人好しなの。面倒事を一人で背負って、押しつけられたって嫌と言えないし。誰かが、自分のしてあげたことで喜んで、笑ってるところを見るのが好きなんだって、笑ってたけど」
いつのまにか、ビアンカは笑っていた。
吹っ切れたように、その笑顔は清々しいものになっていく。
「ほんとに、どうしようもないくらい、ばかなの」
フローラはそれを、とても優しい微笑みと共に見ていた。
この女性は、知っているんだわ。
フローラは思う。
「ばか」という言葉には、最上級の愛情が含まれているんだということを。
文法的な、理論的な理解ではなく、感覚として理解している。
愛情の何たるかをちゃんと理解している。
「お好きなんですね、あの方のこと」
再び言われた言葉に、今度はビアンカ、驚かなかった。
「ばかだからね」
フローラはくすくす笑う。
「なあに? どうして笑うの?」
「だって」
フローラはニッコリ笑う。
「ビアンカさん、やっとわたくしを見てくださったんだもの」
ビアンカはキョトンとなった。
「やっと、あの方と話すのと同じ言葉遣いになりましたわ」
フローラはとてつもなく上機嫌だった。ビアンカも、つられてぷっと吹きだした。
しばらくの間、二人は親友同士のように笑い転げた。
サラボナで流行しているファッションの話。好きな男性のタイプ。体験談。笑い話。お茶の好みに至るまで。いつしか二人とも、声を上げて笑っていた。
「……ね、ビアンカさん」
「……ん?」
大きなベッドに寝転がって、フローラは囁いた。
すぐ横に寝転がるビアンカが、上を向いたまま答える。
キングサイズのベッドは、少女二人が横になったってまだまだ余裕がある大きさだ。
「たとえどちらが選ばれても……、わたくしたち、親友ですわよね?」
「もちろん!」
少しの迷いもなく、ビアンカはニッコリ笑った。
「あなたがあたしに憧れてるって言うんなら、あたしだってあなたに憧れてるわ。あたしたち、もしかしたら似てるのかもね」
それを聞いて、フローラ、本当に嬉しそうに笑った。
「お嬢様ー!」
「フローラ様ー!」
別荘の外で、メイドたちがフローラを探す声がした。
「あら、すっかり時間を忘れて……。今、何時です?」
「ええと、ちょうど11時だわ」
「まあ! もうそんな?」
かれこれ3時間はここにいたことになる。
「もう、戻らなければ」
そういって、フローラは名残惜しそうに微笑む。
「ドアまで送るわ」
一緒に立ち上がって、ビアンカはフローラに、ここへ来るときに羽織ってきていたショールを掛けてやる。
ドアまで来て、フローラは振り返った。
「ビアンカさん、さっきわたくし、本当言うとちょっと嫉妬してるって、言いましたでしょう?」
「……ええ」
フローラはちょっと淋しそうに微笑んだ。
「明日もし、わたくしが選ばれなかったら。わたくし、実は修道院時代からコッソリ小説を書いているのですけど、題材にさせていただいてもよろしいかしら」
「小説?」
「ええ……」
「……悲恋もの?」
「ええ……」
目を伏せてちょっとうつむくフローラを見て、ビアンカは何だか居たたまれなくなる。
「愛する美しい親友を旅の若者に奪われた、悲劇の令嬢の物語ですわ……」
涙ぐんだようなまなざしでそう言われて。一瞬目をぱちくりさせて、ビアンカは「へ?」と呟く。
「ええっと、悲劇の……?」
「令嬢物語。美しい親友とは、もちろんあなたのことですわよ、ビアンカさん」
瞳をウルウルさせて、フローラはビアンカを見つめる。
「えーっと、あの、……女同士じゃないの? それって」
「あら、紙の上ではすべてが許されるんですのよ」
全然悪気のない顔で、フローラはキッパリ言ってのけた。
「先程も言いましたけど、わたくし、嫉妬してましたの。あの方に」
「…………へ?」
「まるであなたを独占してらっしゃるようだったもの。わたくしだってあなたといい仲になりたかった。……だからわたくし、たとえあの方があなたを奪っていってしまったって、負けませんわ」
キッと顔を上げて、彼女は大胆不敵に微笑んでみせた。
「あなたは、わたくしがあの方への想いを綴るようなことを想像されていたんでしょう?」
「え、ええ、まあ」
「でもねビアンカさん、そういった普通の恋愛小説なんて、世の中にはゴマンと存在しますわ。今更書いたって、何の面白みもありませんもの。そんなもの、このアンネローゼが死んでも書かない、最高につまらないお話ですわ」
「ア、アンネローゼ?」
びっくり仰天して、ビアンカは跳び上がりそうになった。
「アンネローゼって、もしかして、あの世界中で絶大な人気を博してるっていう、あのアンネローゼ?」
「あら、びっくりさせてしまいました?」
うふ、と可愛く笑って、フローラはニッコリ微笑んだ。
「だ、だって、アンネローゼって、年齢も実名も身分も、まったくの謎に包まれてて、実在している人物なのか、それとも誰かが集団でその名前を使って書いているのか、それすらも分からない、ミステリアスな作家だって」
「それはすべて、我がルドマン家が財力によって秘匿している秘密事項ですもの。わたくしがアンネローゼであるということを知っているのは、当家の一部の召使いとビアンカさん、あなただけですわ」
今になってようやく、ルドマン家の何たるかを身にしみて分かってしまったビアンカであった。
「で、でもどうして、あたしなんかにそんな重要なこと」
「言いましたでしょ? あなたはわたくしのとても大事な親友。そしてわたくしの、お・も・い・び・と♪」
ちゅっ
ビアンカの頬に、マシュマロのような柔らかな感触。思わず絶句して、固まってしまうビアンカ。
「『既成事実その1』ですわね!」
うふふっとかわいらしく笑って、フローラはショールをひるがえした。
ドアのところで茫然と突っ立って見送っているビアンカに、フローラは少し行ってから振り返って、
「あ、そうそう、この先旅先で小説の題材になりそうな素敵なシチュエーションが転がっていましたら、わたくしに教えてくださいませね! 約束ですわよ!」
上機嫌にショールをひるがえして去っていくフローラは、ビアンカが混乱しきって、ようやく片手を上げることしかできないのを見て、くすくす笑った。
「このくらいいじわるしたって、バチはあたりませんわよね」
それでも、ビアンカが親友であることに変わりはない、ということを、フローラはとても嬉しく思った。
そしてその数時間後。
「ビアンカ、眠れないの?」
そう言って神妙な顔で近付いてきた彼に、
「ええ……ちょっと、考え事してて……」
と、何だかぼんやりしたような顔で呟いたのであるが。
彼も、まさかこの言葉の裏に、かのような衝撃的な出来事があったということなど夢にも思わず、「なんて健気なんだろう」と感動と思慕の念を強め、翌日にはめでたくビアンカが選ばれることになるのであった。
世の中には、知らない方が幸せなこともあるようである。
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フローラさん本当にいい性格されてるなぁ(笑) 天然お嬢様だと思ってたのにどうしてこうなった!!
でも大きな声で言いたいんです。
「フローラさんは絶対に攻めーーー!!!!!」
完全に趣味ですねすみませんでした。 [ 戻る ]
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